PABECHANVIK’s diary

フランス在住、4つ脚と2本足のママン。愛犬、国際結婚、子育て、旅行など豪華なおパリじゃないおフランスから自由気ままに....

フランス犬生活の始まりPart3 〜え、こんな簡単に家族を決めちゃっていいの?〜

毎日 仕事場でもお昼休みに、そして夜もパソコンで探していたヌヌースさん。ある日、「今日の午後 早退するから犬を見に行こうよ。5歳の犬だって」と携帯にメッセージ。おぉぉぉ!!!とワクワク気分で行きました。

小さな団体のホームページをいくつか見て、私たちの住むリヨン近郊で絞って見つけたそうです。訪ねに行ったお家は、自分の犬が欲しいけれど、犬を助けたい。だから1匹は自分の犬、もう1匹は里親が見つかるまでの子、とお世話されている方でした。彼氏と別れてから男は信用ならないけれど、犬は裏切らない!と、アムールの国フランス女性らしからぬ発言でしたが、「そうね、そうね、絶対そうよね〜〜」と全てを訳すヌヌースさんをガン無視で賛同しておきました。

 

5歳のその子は、真っ白な子でとても懐っこく、すぐに飛びついて来ました。なんのミックスかは分からないけれど、飼い主の方が亡くなって保護された、という話だったと記憶しています。虐待されていたわけではないけれど、5歳という年齢で引き取り手が簡単じゃないの、と言っていました。その方は、ダメって分かってるけれど一緒に寝ちゃってるのよ〜。でも1匹でも寝れるわよ〜とオススメ。でもその小さな団体の代表のような方はゴリゴリ押して来ましたが、実際に預かってる方はまだまだ実は手放したくなさそうだな〜〜と思うくらい可愛がっていたので、なんだかほっこり気分になりました。私は基本どんな犬でも好きなので、その子でも良かったですが、「可愛いと思うなら、この子にする?」と聞いてきたヌヌースさんの「私が良ければどの子でも」と思っている感がどうしても否めず、とりあえず何匹か見た上でヌヌースさんの反応と気持ちで決めようと思い、その場では「考えさせてください」とお答えしました。

 

もう一つ私の中での不安は、その子がダックスフンドのように胴が長く脚が短かった事でした。その当時築150年のヨーロッパならでは!という感じの古い建物に住んでおり、石でツルツル、場所によっては凹んでる階段を登らなきゃいけなかったので、この子の背骨に良くないのでは.....と思う気持ちがどうしても私の中であったからです。実家で飼っていた子たちも、年を重ねるごとやはり「滑る床・階段は良くない」というのは目に見えて分かっていたので、後から痛い思いをさせたくない、という気持ちもあって保留を選びました。

 

フランス人はその場で決めるのか分かりませんが、向こうは「え、そんな階段なんて大丈夫よ!だって毎日ベッドにも上ってるし」と色々言ってきて、"NOW OR NEVER"的な推し。ちょっとびっくりしつつ、彼は初めてなので、もう少しだけ余裕をください、とお話ししてそこを後にしました。代表の方は、階段なんて大丈夫なのに、とずっと仰っていましたが、里親のおばさまはちょっと嬉しそうだった気がします。まだ手放すのはのは寂しかったのでしょうね。

 

その数日後だったでしょうか。仕事から戻ったヌヌースさんが「明日の午後17時にグルノーブルに犬を見に行くよ」と言ったのですが、明らかに今までよりちょっと盛り上がってる雰囲気。「すごく可愛い犬だよ」と。お、これはやはりいいんじゃない??物件探しのように、色々見つつ、自分の好きなタイプとか好みが分かってきてヒットした感じ?と私もワクワク。いま見せるよ、とパソコンを開いて見せてくれた写真。タイトルをつけるなら「アジアの路上で寝てる野良犬1」というくらい私には「よく見る感じ」だったのですが、ここではそうでもないらしく、ワクワク感が明らかに違うヌヌースさん。アジアでモテるアジア女子と欧米でモテるアジア女子のタイプが違うのと同じ感じ?「できるだけ引き取り手のない老犬を」と言っていたのですが、ヌヌースさんが「この子はまだ8ヶ月なんだけれど、とても気に入ったので見に行きたい」と言うのでもちろんと承諾して行きました。

 

リヨンからグルノーブルは1時間強かかるのですが、そこはグルノーブルの郊外、一軒家が立ち並ぶ中、フロント・バックヤードとある二階建てのお家でした。ヌヌースさんが見つけたこの団体は『Association Liberté sans Frontière 』日本語訳すると「国境なき自由団」とでもなりましょうか。(ソン フロンティエール、国境なき医師団とかの「国境なき」の部分です)ローヌ・アルプ県のアソシエーションですが、フランス全土とスイスでの受け入れ先を認めています。ここの団体の方から、イタリアとルーマニアでは野良犬が多すぎて国内で処理しきれず、フランスやドイツの犬保護団体が動いて引き受けてる事、スペインでは動物愛護法がとんでもなく適当すぎて狩猟に使われる犬たちが虐待されたり若くして殺されている(木に吊るされる、海に投げ入れられる、など当たり前のようにあるようです・・・・)ので、その保護に動いている、と聞きました。現にスペインから保護されてくる犬は大半が狩猟に使われるガルゴ・エスパニョール(スパニッシュ・グレイハウンド)で、この子たち専門の保護団体もいくつも存在するくらいです。

そのお宅には犬種は忘れてしまったのですが大型プードルみたいな子が2匹、小型犬が1匹、猫が2匹いて、その他に2匹保護犬がいました。「保護犬が人間だけに慣れても意味がないので、他の犬や猫と慣れる事も重要なのよ」と仰っていた通り、他の犬たちと喜んでお庭を走り回っていました。猫は完全に犬たちをガン無視でしたが..... すぐ近くに住んでいるという同じ団体の女性も、同じ時に来た女の子を連れて来ていましたが、どの子たちも仲良く遊んでいました。シチリア島で保護された犬たちを今回 団体で受け入れ、数人で分けて里親待ちをしていました。

1月末に来たばかりで、犬は大丈夫なんだけれど人間は少し時間が必要なのよ、と言って呼んだその子は「ロメオ」 私たちを警戒してるのか後ろの方から頭を下げてとぼとぼと怖がった様子でマダムに近寄って行きました。第一印象は「とても人間に怯えた子」で、何があったんだろう、と私は思いましたが、ヌヌースさんは「僕はこの顔、すっごい可愛いと思う。フランスで見ない感じ」と言うと、周りみんなが「そうなのよ、可愛いわよね〜〜」と大はしゃぎ。私は心の中で「日本で保護待ちのワンコたちはヨーロッパでチャンスが大いにありそう・・・」と本気で思うほど「良くいる雑種な感じ」だったのですが、でも怯える中にもどこか愛嬌があって可愛かったです。今で8ヶ月くらい。後、少し大きくなるかもしれないけれど、これが成犬サイズと言われ、小さくも大きくもない(小さい中型犬くらい)、細いなぁ、という子で、ヌヌースさんは「サイズもこれがいいよ!小さより大きい方がいいけれど、大き過ぎなくてアパートでも大丈夫!」と。そうだね、可愛いね、と話すと「じゃぁ、この子にします」とヌヌースさん。

 

早っ!もう決めるの??と思いましたが、でもその気に入りようは、これはきっと可愛がってくれるだろうなと確信できるものでした。人間の赤ちゃんでも私は同じなのですが、可愛いと思っても、やはり別の生き物。個性も感情もある。お互いを知り合って理解していく上で、家族になって関係を築いていくもの、と私は思っています。でもやはり第一印象が良い=スタートが良い、に越したことはなく、初めての犬をザ・仔犬から飼わないヌヌースさんにはぴったりだと思い私も同意しました。

するとマダムが当たり前のように「リードやクッションとか必要なものは全部揃ってる?」と。

 

??!!!え、だって今 10分くらい前に来たばかりよ??!!揃ってるわけないじゃん??!まずは会わせてね、ってことだったよね??

 

ヌヌースさん「近くに犬用品買えるお店ありますか?買って来ます。」 

 

はい??今 買いに行くの?ってことは、今日連れて帰るの??しかも、この後 グルノーブルの友達が新しい彼氏紹介したいって彼氏の家でご飯ご馳走してもらうことになってるのに?!!

 

私が「家の準備何もないのに?」とヌヌースさんに言うと、「だから買いに行くんじゃん。またここに戻ってくる意味とかなくない?」と言われ.... いや、もちろん嬉しいけれど、まさかその場で決めると思ってなくて.... と言いながら、同時に「また戻ってくる意味」=「待つ意味」は何か?考え直すことでも、他の子を探すことでもないし、2ヶ月の仔犬でもないので、すぐに普通に育てて大丈夫!と、「よし、行こう!」とすぐに自分の言葉をかき消すように言って出かけて行ったのを覚えています。そのロメオと呼ばれる子は、また他のワンたちに混じってすごいスピードで走り回っていました。もう1匹、ロメオと一緒にシチリアから来た女の子を連れて来ていたマダムは「うちのこは?どうせなら2匹もおなじよ!」とか笑って言っていましたが、冗談半分とはこのことで、その後 そこを去るまで5回ほど言われました ^^; でも「可愛がってくれるだろう」と思ってくれたのはありがたいです。

20分くらい離れたホームセンターにとりあえず今 必要な餌とお水のボウル、そして大きなベッド用のクッション、首輪にリードを買って戻りました。この子の性格が分かったら、もっと素敵なものを買ってあげよう!と思いながらこの家に戻りました。その時はもう「え?こんな早くに??」ではなく、「わーーーーー!私のワンが来るぅ❣️」の興奮と喜びだけでこの家のフロントヤードのドアを開けました。

 

イタリアから来たから「ロメオ」 名前は変えてもいいけれど、できれば同じような音のがいいんじゃない?と言われましたが、いかにも過ぎるね、、、、名前は変えようともう決めてしまっていました。茶色のベースに黒と白が混ざった個性的な顔。走り回って楽しさマックス以外の時はいつも困り顔。"Mon garçon"(モン ギャルソン、私の男の子)は、私たちが無理やり家族に引き入れた子。ずっと実家の犬しか飼えなかったので、こうしてフランスで家族である犬を増やせてとても嬉しかったです。マダムは娘さんに「ロメオが新しい家族の元に行くの。さようならを言いに来て」というと、娘さんは降りて来て、ロメオを抱きしめて頭にキスをして"Au revoir, Roméo. Bon chance"(さようなら、ロメオ。頑張ってね)と言ってすぐに上に行ってしまいました。可愛がってくれていたようで、何と無く寂しそうで、私も少し寂しくなりました。

2011年3月25日。車の後部席に乗せて、お友達が仕事が終わるまで公園で過ごすためにグルノーブルへ。これがヌヌースさんの即決でカップルから家族になった私たちでした。〜Part 4へ続く〜

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不安そうに外を覗く様子。その後 色んな所へ旅をした車の初ライド。